翔太もあたしと同じように田舎育ちだからやっぱり朝ご飯は和食だったのね。
いままでそんなことが話題にのぼったことすらないから思い至らなかった。


もしかしたら毎日和食が食べたいと思ってるのかしら。
帰ったらどうにかやりくりしてみようかしら。


箸を持ったままぼんやりしていると一段と大きなため息が聞こえて牧さんが居ること思い出して慌てた。



「ため息ついて、どうしたんです?」

「……緊張してるってのかな?」



その言葉意味が理解できなくて首を傾げると苦笑が返ってきた。



「真知ちゃんは翔太にしか興味ないかもしれないけど、一応俺だって翔太と同じ会社なわけ。つまり、今日のプロジェクトもどうなるか心配っての。ま、俺は翔太ほど責任ある立場でもねぇから気楽っちゃあ気楽なだけどな」



そう言葉を締めて、コーヒーをすする。
よく見ると、彼の手は震えていて、目を見張る。
あたしの視線が彼の震えている手に注がれていることに気付いたのかまたもや苦笑い。



「かっこ悪りぃな、俺。プレッシャーに弱いんだよ」


翔太と違って。
そんな弱気な声が耳に届いたけれど聞かなかったことにした。とても悔しそうな口調だったから。

そういえば、翔太のそんな姿は見たことが無いと唐突に気付いた。