「翔太、……なんだか楽しそうだわ」

「そうか?そんなことねえ。……明日は牧が迎えに来るようになってる」



いつになく饒舌な翔太を見ていると不思議な気分になる。
けどそこで翔太の言葉を理解して、目を見張った。



「ん?迎え?」

「あぁ、俺は悪いが先に出る」

「先に出るって…………あたしを置いて行くの?」

「あぁ、出るときは起こすつもりだ」



じっと翔太の目を見ていたけれど、どうやらそれは翔太の中で決定事項のように揺らぐことはないみたいだわ。

わかったわ、と小さく返事をした。
その声が翔太には拗ねたように聞こえたみたいで慌てたように声を紡ぐ。



「全部、明日が来たらわかる」

「仕事も?」

「あぁ、………迎えは9時過ぎだ。俺は7時には出る。牧に全て任してあるからお前は牧の言うとおりにしろよ」



コクリと枕に抵抗されながらも頷くともう寝ろ、と片手であたしのまぶたを閉じた。



「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」



閉じたまぶた越しでもわかるように淡いオレンジ色の光はなくなって暗闇が広がった。