マーメイド・セレナーデ

1階の宴会の喧騒は2階の自室にはあまり届かないから、ゆっくり寝れる。
向こうの家を出て、ここに着くまではよかった。

翔太に、あの場所で出会ってから。
あたしは嫌でも思い出してしまう過去に囚われてしまう。
思い出したくないのに、思い出さずにはいられない。


翔太さえいなければ、あたしも憂鬱にはならなかったのに。


帰省して会わないはずはないのに、こうならないはずがないのに。
翔太の思い通りにならない向こうの生活に染まってしまったのか、すっかり忘れていたのか。それとも忘れていたかったのか。


あたしってばかだわ。
頭も重くてもやがかかったよう。


化粧もお風呂もどうでもいい。
早く布団に入って休みたいわ。


翔太を頭から追い出さなければ。