受話器に手をかけたとき着信音はぷつりと切れた。
小さいディスプレイを覗くと転送の文字。どうやら出るのが遅くて店長の携帯に転送されたみたいだった。
表から携帯を耳にあてた店長が入って来てぺこりと頭を下げて表に出た。



洋服を畳み、ボディに着せる服を決めて展示する。
オープンしたばかりの10時ではお客も少なくてレジに入ってぼんやりとしているといつの間にかちらほらお客が見えてきてまた店内を回る。


あちらこちらに歩き回っていると裏から顔を出した店長と目があった。

くいくいと手招きされてなにかしら、と一言裏に行くことを同僚に告げると足早に向かった。

店長が口を開いてなにかを話すけれどドアベルの音で掻き消された。



「すいません、もう一度お願いします…………、店長?」



目が合わせられない店長にあたしもその視線を追った。