マーメイド・セレナーデ

両親はまあ、とかおお、とか感嘆の声を上げている。
万人受けの整った顔は顔なじみのあたしの両親まで虜にしてしまうのね。



「真知ちゃん、愛されてるわね」

「そうね………、お母さん」



ようやく家に入れても、翔太があたしの腰を抱いてエスコートするものだから気が休まらない。

前を歩く両親に悟られないようにと、できるだけ、すこしでも離れていようと身体をずらせば腰を抱く腕に力が入って引き寄せられる。
挑戦的に翔太の顔を見上げたらにっこりと笑みを見せた。



「真知、恥ずかしがんなよ」



仲いいのね、と翔太の声でお母さんはすこし浮かれ気味。

ぎゅっと力が入ったままの翔太の腕から逃れられない。

失態を見せたら……。
考えたくもないわ。



「真知、ちゃんと笑えよ。俺様の横で不細工面は許さねえ」



2人きりになったら耳元でそう囁かれ、睨み付けた。
あたしは、あんたのアクセサリーじゃないわ。