シャワー音が聞こえなくなり、そのうちリビングの扉が開かれて翔太が上がったのが音から分かった。

どうしようか、とまだ緊張気味に悩んでいたあたしは振り返ることもせず、ただただ座って頭を働かす。


背後から、プルタブを押し開けてカシュといい音がする。

そのまま、ソファーに腰をかけた。
風呂上がりでほんのりと紅く染まった肌が惜し気もなく晒され、目のやり所に困る。



「Tシャツくらい着てよ」

「あっついんだよ、だいたいこんくらいでうろたえるな」



横目で翔太を睨むと、ちょうど開けたばかりのビールをのどに流し込んでいた。

一定のリズムを刻んで動く喉仏に目を奪われて、睨んでいたのも忘れてただただ魅入ってしまった。



「んだよ、見んな」



半分ほど一気に飲むと、乱暴に口を左手で拭う。そのとき目が逸らせずにいたあたしと目があって、照れるような口調に、口元にあった左手をこちらに伸ばしてあたしの目を覆ってしまった。