「東京、って……」

「飛行機で2時間もかかんねぇ」



その答えはなにが言いたいんだろう。近い、って言いたいのかな。

そんなことが聞きたいわけじゃない、ってこと翔太はわかってるのかしら。


言葉なく、翔太をじっと見つめる。
その答えを翔太はくれないけれど。



「どうして……」

「あ?出張っつったら仕事だろ?1ヶ月忙しくなんだよ」



目が合わないのはなぜ、とは言えない。ただ、視線でそれを求めるだけ。

けれどそれ以上は何もできなくて、ただぼんやりと翔太を見てる。

力が抜けていく。
手に持ったアイロンがするりと落ちていきそうになるのをいとも簡単に支える。
危ねぇなぁ、なんて言いながら未だに翔太の言葉を処理できずに固まってしまったあたしを押しのけて口をゆすぐ翔太。