茶化すような意地悪な物言いでも、あたしはなぜか泣きそうになる。


はぁ、と深いため息。
それに怒りも篭っていそうであたしは俯く。

パタンと扉が閉まる音がする。
ああ、呆れてまた部屋に篭っちゃうのね。
くだらないことでうじうじ悩んで、うっとうしいって思ってるのよ、きっと。



「で、なに?」

「えっ……どうして、」

「どうもこうもねえだろ」



腕を組んで、閉まった扉にもたれ掛かり伏し目がちにあたしになにかを促してくる。


なにって言われてもわからないわ。
それに、どうして。
あたしに構うの。



「…………はぁ、ったく。牧とミキ、んで俺。ミキも牧と一緒。こっちの学校のタメ。んで理由は仕事。他になんかあるか?」



ミキ、で強張らせた顔に気付いた翔太は言い募る。



「言っとくがミキは幹彦っつって男。で何が不満?」



翔太は、言えない限られたなかでも最大限に優しさを見せてくれているってすごく伝わる。

でもあたしは何で言えないの、って思っちゃう。


けど言えない。