翔太にあたしの知らない友人がいるように、あたしにも翔太の知らない友人がいる。
学生時代のときのようにずっと一緒に居られるわけじゃないのはわかってる。社会に出れば異なる環境になって、共通の話題なんて少なくなるって、わかってた。わかってるけど。


こうやって、追及しちゃうから女って面倒になるのかしら。


シンクに両手をついて焦点が定まらない目で虚ろにそのカップを映す。


カップに張られた水がゆらゆら揺れて、波立つ。
あたしの知らない顔で話す翔太が居るようで悔しいの。

すべてを知りたいなんて傲慢な考えだってわかっているけど、すき、なんだもの。