マーメイド・セレナーデ

しばらく無言の攻防が続いて翔太は車を出た。

勝った!

喜びも一瞬、あたしの隣のドアが開いて長い手にあたしは囚われる。

米俵を担ぐように引きづり出され、あたしは助手席へと座らされた。


車から出るときと入るとき、両方とも頭打った。
痛い。


痛みで涙目になりながら睨み付けたがふん、と鼻で笑われて翔太は運転席へと収まった。



「最悪、」

「俺様の助手席に座れること、光栄に思えよ」

「頼んでないっての」



また鼻で笑われてようやくエンジンをかけて細い道を進み始めた。