「タメなんだろー?」



へらりとなんとも気の抜けた笑いを浮かべて近付いてきた翔太の友人らしき人はあたしの目の前に立つとぽんぽんと頭を撫でた。



「なにやってんだよ、アホ」

「翔太……」

「いらっしゃーい」



次いで顔を見せた翔太に何らかの説明を求めようと視線を向ける、けど簡単に絡んだ視線を解き、友人に声を掛けるの。

もっと、相手をしてくれたっていいじゃない。



「ん、ってんだよ」

「おー怖っ、ご機嫌まよこかよ。心狭い男は嫌われんだぜー」

「うるせぇ、牧。ごちゃごちゃ言いに来ただけなら帰れ、邪魔だ」

「愛の巣で邪魔されたくないってー?本当にお前らしくねー、ねえ?真知ちゃん?」

「牧っ!真知もんな奴相手すんなっ」



八つ当たりのような怒鳴り声に牧さんはあたしと目を合わせて肩をすくませた。