カレンダーガール

12月29日、1年の仕事納めの日。
とは言っても、救急外来も病棟も休むことはなく、医師も看護師も勤務は続く。

「明日鷹先生、年末はご実家に帰られますか?」
病棟師長が声をかけてきた。

「年末年始の休みは元日だけなんです」
「あらー、お兄さん方と会えなくて残念ですね」
「まあ・・・」
さすがに、兄弟に会いたい歳でもないが・・・

俺の実家はこの大学と縁が深く、叔父も兄たちもここの卒業生。
そのため、古くからいる師長の中には兄や叔父を知っている人が多い。
各科の部長クラスに至っては、今だに『明日鷹君』扱いされる。
大学に入った頃はさすがにやりにくくて反抗した時期もあったが、今はもうあきらめた。

「桜子先生。年末はいつがお休みですか?」
どうやら師長は、年末の医師のスケジュールを確認したい様子で、片っ端から声をかけている。
きっと、緊急時の体制を整えたいのだろう。