啓介が行方不明になって２週間。
一向に連絡は取れないまま時間だけが過ぎた。
そして、怒った明日鷹先生は必要最低限のことしか口をきいてくれなくなった。
そのくせ、３日に1度は有香さんのお迎えで帰って行くんだから、私のイライラは募るばかり。

はぁー。
最近は溜息ばかりだな。

「ねえ、桜子？」
考え事をしていた私の顔を、紗花がのぞき込む。
「ああ、ごめん。何？」

はぁー。
今度は紗花の溜息。

「桜子、まだﾞ森先生と喧嘩してるの？」
「喧嘩じゃないって。嫌われたの。私が怒らせるようなことをしたから」

あまりにも確信犯すぎて、謝ることも出来ない。
明日鷹先生も、叱りもしない。

「私には痴話げんかに見えるけど」
「目が悪いんじゃないの？」
そんなかわいい物なら、いいんだけれどね。

「あの・・・」
店員さんが申し訳なさそうに口を挟んだ。
「ああ、ごめんなさい」
自分が今何をしているのかを忘れていた。