11月の終わり。
季節はもうすぐ冬。

ここ最近は大きなトラブルもなく平和に過ごしている。

「桜子先生。今日の午後は、明日鷹先生がお休みでしたよね?先生は外来ですか?」
病棟の隅っこでカルテ整理をしていた私に、病棟師長が尋ねた。

「ええ、そうなんです。明日鷹先生は急なお休みなので、私は代診の井上先生の外来に入ります」

本来なら今日は明日鷹先生が外来診療の日で、私はその外来に就く日なのだけれど・・・

「急なお休みなんて珍しいですね」
「そう、ですね」
とは言ったものの、最近の明日鷹先生は急なお休みが時々ある。
もちろん、きちんとスケジュール調整して勤務に支障が出ることはないから師長も気づいてないのかもしれないけれど、理由については私にも教えてくれない。

実際、今日のお休みも突然だった。
『明日の午後、用事が出来て休みを取ることにした。外来は井上先生にお願いしてあるから、君は井上先生について外来に入ってほしい』
と、昨日の夕方になって急に言われて驚いた。