ひとりずつの患者さんについて、手術可能か内視鏡で治療するのか科を超えて総合的に判断を下す合同カンファレンス。

「はい。次の患者」
司会の先生が言い
「山本翼くん。15歳。クローン病です」
明日鷹先生の声。

それぞれの担当医が病状を説明した後、今後の治療について検討される。
翼くんについても、もっと積極的な治療はどうなのか?今後、外科的治療に踏み切るタイミングについて意見が出た。

その時、
「す、すみません」
ドタドタと物音がして、紗花がハンカチで口元を押さえて出て行った。

あー、二日酔いだ。かわいそうに。

「ったく、今時の学生は・・・」
先生達の非難する声。

学生じゃないのに・・・。
そう思ったけれど、何も言うこともできず私は唇をかみしめた。