「お疲れ様でした」

時刻は午後6時。
今日予定の検査は終了し、私はカルテ入力を済ませて辺りを見回した。
患者さんはすでに帰宅し、残っているのは数人のスタッフのみ。
謎の美女との昼食以来機嫌の悪い明日鷹先生も、すでに姿がない。

「森先生、珍しく早く上がられましたね」
看護師さんも不思議そうな顔。

それにしても、綺麗な人だったな。
印象は、大人の女性。
歳は・・・明日鷹先生と同じくらいだろうか。

「桜子先生、今日この後予定がありますか?」
「今日ですか?」

声をかけてきたのは、看護師3年目の唯ちゃん。
彼女とは何度か食事にも行っている仲だ。

「この後飲み会なんですかど、一緒に行きません?」
飲み会か・・・
「急にキャンセルが出て、良かったらお願いします」
なるほど、人数あわせね。

「残念だけど、今日は紗花と約束があるのよ」
そう言って断わろうとすると、
「じゃあ和泉先生も一緒に。実は、駅前に先月オープンしたお店の予約がやっと取れたんです」
手を合わせてお願いポーズをする唯ちゃん。

「わかった、一応紗花に聞いてみるわ」
「ありがとうございます」