20分後。
明日鷹先生が病室から出てきた。
見ると、翼くんの手からは点滴のルートが外れている。

病室から出た明日鷹先生はまっすぐお母さんの所へ向かい、穏やかな表情で話しだした。
「しばらく点滴はお休みしましょう。その分、内服を増やします。それと、来週末に外泊してみましょう」
「大丈夫なんですか?」
お母さんが心配そう。

「治療は、本人の気持ちが大事ですから。少し、休息しましょう」
笑顔の明日鷹先生に、お母さんも表情が緩んだ。

「鈴木先生、暴れてすいませんでした」
病室に入ると、翼君が頭を下げてくれた。

よかった、もうすっかり落ち着いてる。

翼君が無事だったことホッとしていると、
「桜子先生、ちょっと来てくれる?」
今度は明日鷹先生に呼ばれた。