うーん、気持ちいい。
紗花につられてワインを飲み、桜井先生にすすめられて日本酒にも手を出し、
私もかなり酔っぱらった。
母さんの店じゃなければ、こんなには飲まないんだけど・・・

「桜子、ワインもう1本開けるよ」
お酒が強い紗花はまだ飲み足らない様子で、残ったワインを私のグラスに注ぐ。

「もー。紗花」
ブツブツ言いながらも、注がれたワインに手を伸ばそうとしたとき、

「もうやめときなさい」
聞こえてきたのは、明日鷹先生の声。

えっ?

「・・・」
「・・・」
紗花も啓介も不思議そうに見つめているし、
「おまえがそんなこと言うなんて珍しいね」
桜井先生の驚いたような顔。

「大丈夫ですよ。このくらい平気ですから」
その場の空気を変えようと思って言ったのに、
「いい加減にしなさい」
私の手からグラスが奪われた。

「明日鷹先生?」
どうしたんだろう、明日鷹先生らしくない。

「飲みすぎだ。明日も勤務なのに、少しは自制しなさい」
静かだけれど、強い口調。

「明日鷹。桜子ちゃんも子供じゃないんだからそんなこと言うな」
雰囲気が悪くなったのを感じて、桜井先生が注意するけれど・・・
「子供じゃないから言うんだよ。いい大人が、自分の責任を自覚しなさいって言ってるんだ」
明日鷹先生も酔っているのかな、ちょっと説教ぎみ。

結局、それからしばらくして飲み会はお開きになった。