「アメリカには行くんだよね」
深い意味はなく、確認のつもりで聞いた。

「行くよ。桜子は小児科に残るんだよな?」
「うん。今日、受け持った患者を看取って気がついたの。これが私の選んだ仕事なんだって。嬉しいことばかりじゃないけれど、子供達の命に向き合う仕事を、やめたくないわ」
不思議なことに迷いはなくて、心は決まっていた。

「そうだね。それが、桜子らしいよ。お互いに1人の人としてちゃんと生きていこう。そして、出来るだけ一緒にいて2人で子供を育てよう」
「はい」

こうして私と明日鷹は結婚と遠距離での生活を決めた。