カレンダーガール

病室に駆けつけると、陽菜ちゃんのベットを挟みお母さんと果歩先生が向かい合っていた。

「失礼します」
声をかけて、中に入る。

私は部屋にいた看護師を外に出してから病室のドアを閉め、個室に陽菜ちゃん、お母さん、果歩先生、私の4人だけになった。

「果歩先生」
背中を向けている果歩先生に声をかけると、

ええ?
泣いている。

馬鹿。
患者の前で泣くなんて・・・。
私は咄嗟に彼女の前に立ち、お母さんの視線を遮る。

「申し訳ありません。不手際があり、もう一度髄液採取が必要になりました」
一気に言って、頭を下げた。
「さっき聞きました。この人がダメにしたんでしょう?」
お母さんは怒っている。
それ以上に、患者の前で泣き出す果歩先生を信頼していない。
患者は医者に命を預けているのだから、医者はどんなときでも虚勢をはっていなくてはいけない。
それなのに・・・

「お怒りは最もですが、陽菜ちゃんのためにも早く検査結果が必要です。まずは採取準備をさせてください。検査後、改めてお詫びと説明をさせていただきますので」
私は、お願いしますと頭を下げ続けた。

「分かりました。でも、もうこの人には触らせないでください。鈴木先生か桜井先生にお願いします」
「わかりました」
この状況では仕方ないと、担当医の変更を約束した。