カレンダーガール

発熱外来終了後、私は病棟に戻った。
外来同様、病棟もインフルエンザなどの感染症の子供達が増えてきている。

「桜子先生。陽菜ちゃんのお母さんが心配性で困ります」
病室から戻ってくるなりぼやくのは、病棟看護師のめぐみさん。

「今日は、めぐみさんが担当ですか?」
「そうなんです。朝から食事に入っている添加物について質問攻めにされました」

陽菜ちゃんは、昨日髄膜炎疑いで剛先生が入院させた女の子。
救急外来から突然の入院になり、お母さんも不安でいっぱいなのだろう。

「陽菜ちゃんがかわいいから心配なのよ。出来るだけ答えてあげて」
「はぁい」
「そう言えば、陽菜ちゃん検査は?」

髄膜炎確定のためには腰椎穿刺の検査が避けられない。
腰椎穿刺は腰骨の間に針を刺し骨髄液を採取する検査で、一応麻酔はかけるけど、痛みを伴う大人でも辛いもの。

「今、剛先生と果歩先生でやってます。もう終わると思います」
「そう」

しばらくして、果歩先生が献体を持って戻ってきた。

「果歩先生、お疲れ様」
「お疲れ様です」
なんだか元気がない。

「どうした?体調悪い?」
さすがの果歩先生も、腰椎穿刺はショックだったかな?
痛々しいものね。

「大丈夫です」
まるで説得力のない言葉。
それでも、私には心配をされたくないらしい。

「桜子先生お願いします」
遠くの方から看護師に呼ばれて、私は果歩先生の元を離れた。