カレンダーガール

『もしもし、明日鷹だけど。夜分にごめん。紗花と桜子が酔っ払ってうちの病院に来てるんだ。俺、紗花の旦那さんの連絡先分からなくて、悪いけど迎えに』
そこまで聞いて、電話の相手は大地だと分かった。

「やめてよっ」
立ち上がり、携帯を奪おうとする紗花。
しかし、明日鷹先生に阻まれる。

やだ、紗花が泣きそう。

多分、私も酔っていたんだと思う。
「何で大地なんか呼ぶのよ！」
と、怒鳴ってしまった。

その声に反応し、周りの患者さんも私たちを見ている。
すると、冷たく怖い顔をした明日鷹先生が乱暴に私と紗花の腕をつかんだ。

「来なさい」
それだけ言うとスタッフ休憩室に連れて行き、
ドンッ。
置かれていたソファーに私たちを放り投げた。

それからは３人とも無言だった。
紗花は酔っ払っているし、明日鷹先生は怒っている。
私はここから消えていなくなりたいと本気で思っていた。