カレンダーガール

救急外来の待合。
運ばれてきた男の子は検査や処置を受けている。
もう１人の子は、受付で事務手続きをしたり、家族との連絡を取っている。
私と紗花は逃げ出すわけにも行かず、ただ座って待っていた。

そこへ、診察室のドアが開き、明日鷹先生が出てきた。

椅子に座る私たちの前に立つと、
「誰？」
冷たい視線を向ける。

誰と聞かれても・・・
私が答えに困っていると、

「知らない人です」
紗花が答えてしまった。

ヤバイ。
明日鷹先生の表情が変わっている。

「もしかして、ナンパされてついて行ったの？」
非難がましい声。
「そうなのか？」
私の方を見て念を押す。

仕方なく、私は頷いた。

「はぁー。君たち一体いくつだよ」
ため息とともに、明日鷹先生の声が大きくなった。

それなのに、
「２６でーす」
と、酔っ払い紗花。

もう、怖くて明日鷹先生が見られない。
あまりの恐ろしさにうつむいていると、頭上から電話をかける音が聞こえてきた。