「連絡もせずに無断外泊したんだから、まずは『心配かけてごめんなさい』だろう。それなのに君は、お母さんやお兄さんに何て態度をとるんだ。良くないぞ」
叱られてしまった。

大地も母さんも驚いて固まっている。

「・・・」
しかし、いくら明日鷹先生の言葉でも、この状況で素直に「ごめんなさい」なんて言えるわけもなく、私は黙り込んだ。

「連絡もなく外泊してしまい、申し訳ありませんでした。桜子には後でちゃんと話しますので」
明日鷹先生が、大地と母さんに謝っている。

「森先生。あなたの気持ちは分かりました。桜子の態度も、今に始まったことではないので、あきらめます。ただ、帰れないときは連絡させてください。母が心配しますので」
少し落ち着いた大地が念を押す。

「はい。これからは必ず」
深々と頭を下げてから、明日鷹先生は帰って行った。