明日鷹先生の部屋に泊まった朝。
仕事が休みだった私は先生の部屋でシャワーを浴び、トーストとコーヒー、スクランブルエッグの朝食を済ませて自宅へ向かう事となった。

「こんな時間になって大丈夫か?」
「もう、25歳ですよ。朝帰りをどうこう言われる歳じゃないです」
心配そうな明日鷹先生に、笑って答えた。

しかし、車が自宅に近づいたとき、
「あっ」
思わず声が漏れてしまう。

「あの、ここでいいです。家はすぐそこだし。ここで止めてください」
「何で?」
慌てる私に、明日鷹先生が怪訝な顔。

そうこうしているうちに、自宅の前で車は停車した。

そして、目の前には車がもう一台。
私はこの車の持ち主を知っている。

「ありがとうございました」
私は急いで車を降りる。

「待って。何なの?どうしたの?」
私の様子がおかしいことに気づいた明日鷹先生が、車から降りてきた。

ああー。
チラチラと家の方を気にする私。
これって、かなり挙動不振に見えるんだろううな。
でも、今はそんなこと言っている状況ではない。
すると、何を思ったのか明日鷹先生が家の方に歩き出した。

「ま、待ってください。1人で帰れます。だから、今日はこのまま帰ってください」

「桜子、おかしいよ」
半べそをかきながらお願いする私を、ジーっと見る明日鷹先生。

そう。私はおかしい。
でも、これ以上おかしな事になる前に・・・