ブー  ブブー
ん?
今度は私の携帯。
PHSではなくて携帯って時点で私用なわけで、慌てて確認すると、
ええー?
それは、啓介からの着信だった。

「桜子、出なさいよ」
紗花が妙な顔をしている。

「もしもし」
この状況で出ないわけにもいかず、通話ボタンを押した。
『桜子・・・俺』
弱々しくて、今にも消えそうな啓介の声が聞こえてきた。
心なしか震えているのが分かる。

「今どこいるの?・・・うん。うん」
出来るだけ言葉少なに、返事をする。
啓介の失踪に関してはすでに警察が動き出しているから、周囲に知られるわけにはいかない。

電話を切ると、3人がじっと見ていた。

「啓介でした。でも、言ってることが支離滅裂で、どこにいるのか答えてくれませんでした」
何も説明しないわけにはいかず、打ち明けたけれど、
「本当に?」
紗花がじっと私を見つめている。
「うん、本当」
そう答えると、さらに追求されることはなかった。