眠れない。
何故か眠れない。ただ、虫の鳴き声が聞こえるだけで少し煩わしいだけだった。それよりも、耳に心地好さも感じた。それなのに、眠れない。

どうして、僕はゆかりに嫌われたくないなんて思ったんだろう。

考えても無駄だ。寝よう。




 その後も、ゆかりと調べていった。

 ある日、母から手紙をもらった。転校することになった。ここの高校に。都合がよかったから、返事をした。


「8月から、同じ高校ですね!」
「うん。」
ご機嫌な様子のゆかりはいつもよりキラキラしていた。
(さすが、イケメン)
「進まないな。」
「はい、あ、そうだ!鬼様はあの山に住んでるって言われてるんです!母に聞いたんです」
「…行くか。」
「はい!ってえぇぇ!?」




山の麓に着いた。
「おい、山に上ったことあるか?」
「ないです。」
「じゃあ、進んでいくごとに、木に印をつけてく。迷子になったら困るからな。」
こくこく、とゆかりは首肯する。


進んでいくうちに、祠を見つける。

この本…





本には『鬼様の誕生について』と書かれている。
「おい、この本」
「これって!大きな一歩では!」
ドクンドクン、鼓動が速くなる。

まだ、この山には何か隠されている気がした。心がだんだん騒がしくなっていった。何も聞こえない。頭が真っ白になった。何も考えれない。ただ、ある夢を見た。