彼氏がふたり n




「あらー、美麻の彼氏かしら?」


慌てて家の外に飛び出せば、なんとすでに母親と立ち話を始めているから驚いた。



「いつもお世話になってます」

「男前ねぇ、ちょっと上がってく?」


否定も肯定もしない返答にも関わらず、"彼氏"前提で会話が進んでいる。



「いえ、ここで結構で……」
「そんなこと言わずに、上がって~」

「お母さんやめてよ!壮真も何しに来たの?」

「話したい事があって」

「あらー。じゃー、どうぞ」

「ちょっと、お母さん!!」


母親が壮真の腕を持って半ば強引に家の中へ連れ込んで行くから、その背中を追うしかなかった。





「美麻に彼氏がいたなんて知らなかったー、良かったわぁ。壮真くんゆっくりしてってね」


お茶を運んできた母親が扉をパタンと閉めるから、私の部屋に壮真と2人きりになるんだけど。



「いきなり何なの?話って何よ!?」


胡座をかく壮真が目の前にいるから、落ち着かなくて直視できない。
何で、私の部屋に壮真がいるのよ。ピンクのカーテンとか似合わないでしょ。



「美麻の母親は、友好的な大人なんだな」

「外泊は怒ってたけどねー。ま、私に普通に男の子の彼氏がいると思って安心したんじゃなーい?」


無表情のまま話す壮真にムッとして棘のある台詞でも吐いてやれば、「そうか」と私の嫌みは通じないらしい。



「それで、なんで私の家知ってるのよ?」

「長谷川(利香の名字)が教えてくれた」


わざわざ利香に聞いて私の家に来たの?
壮真の淡々とした口調に混じる静かな怒り、妬みが壮真の背後に見え隠れする。





「で、今日、美麻は唯斗と何やっていたんだ?」