「は…い…」
『もちろん、ボーカルじゃなくてギターの方でなんだけど…』
「そう…なんですか?」
『うん』
「それで…どうしようか悩んでるんですか?」
『いや…初めは悩んでたんだけど』
「初めは?」
『うん…でももう決めちゃったんだ』
「ユニット…するんですか?」
『うん…この前、路上でその人の唄聴いてさ…この人とならって思ったんだ』
「そう…なんですか…。その人って?」
『春樹さんって人…たまにここでも唄ってて…』
「あ、見たことありますよ。金髪で背の高い人?ですよね?」
『栞ちゃんも見たことあったんだ。』
「唄はちゃんと聴いたことないんですけど…いつもお客さん集めてますよね?」
『うん…すごく唄が上手くてさ。ちょっと感動しちゃって…』
「そんな人に誘われるなんて…すごいじゃないですか。」
『うん…でも』
「でも?…なんかあるんですか?」
『本当は決める前に…栞ちゃんに相談したかったんだ』
「私に?」
『うん…だって』
「私はいいと思いますよ。人時さんがそれで楽しく音楽が出来るならば…」