『え?』


「握手ですよ!!一緒にプロ目指して頑張りましょう!!」


その時の彼の目は輝いていた。

僕にはない輝きだった。

彼は希望と目標、そして夢を持っていた。

しかも、それを目指すだけの実力もあった。

でも僕はそれを夢見たこともなかった。

諦めていたというよりも、認めていた。

確かに、僕は彼よりもギターは弾ける。

でも、僕くらいの実力ではプロになれるとは思ってなかったし、そこに目標があるわけでもなかった。


『こちらこそ…よろしく』


そう思いながらも僕は彼と握手を交わした。

この時の僕は、とりあえず今よりたくさんの人と音楽を一緒に楽しみたいと思っていた。

そして、その中に栞が居てくれればよかった。

彼女はいつも僕を応援してくれているのだから、たとえそれがユニットという形であっても、僕が音楽をしていることに変わりはないし、それでお客さんが増えればきっと彼女も喜んでくれるはずだ。