始まりは何気ない会話からだった。

「ねぇ、どんな恋愛してきたの?」

『別に言えるほどの経験してないよ』


その一言で好奇心が擽られた
元々、口数が少ない人だったから
私の知らない過去を知りたくなった。

「どんな元カノ居たのか、気になるー」
「ねぇ、今まで何人と付き合ってきたの?」
「私も話すから聞かせて!」

気だるそうな顔になった主人が

『過去は過去だし、気にする事ないよ』
『今、付き合ってるのは俺だから
過去の人との話なんて聞きたくない』


そんな胸にしまうくらいの恋愛したのかと
ちょっと嫉妬してきてしまい
ただ聞きたいと駄々をこねはじめた私に

『なんで全て知りたがるの?』
『聞いて何になる?』
『お互いにプラスになる事なんてないよね?』

確かに一度聞いたら疑問はつきないし
自分と比べて嫌になるかもと…。
冷静になりはじめた私に

『今が大事で、大切なんだよ。
まぁ、たまには
ぶつかり合いながら
お互いを理解し合っていこう』

『最後の人だとおもってるから』

その真剣な瞳と言葉が胸に響いて
過去なんてどうでも良くなって
自分の気持ちばかり押し付けたのが
すごく恥ずかしくなった。


あの頃の私は自己中心的で
恋に夢中すぎて冷静さを忘れて
過去までも束縛しようとする強欲な女でした。


気をつけて!
恋に溺れすぎて
過去の失敗いかせてなくない?
大事な人を無自覚に傷つけてない?
知りたがりもほどほどにね。