「…私は、ただの家政婦です。秀永さんの、身の回りのことをやるだけです」
「…そっか。まだ聞かされてないんだね」
寂しげに秀永さんは言った。
「お風呂、行ってきます」
「うん」
これ以上好きにならないように。
離れていたかった。
家政婦と御曹司、その距離感でいたかった。
入浴後、自分のご飯も適当に作って食べて、ソファでウトウトしていた。
ソファに横になって、ブランケットをかけた。
壁をトントンと鳴らされた。
頭がぼんやりとしている中、秀永さんの姿が目に映る。
「眠かった?ごめんね。…これ、明日から茉愛ちゃんが着る学校の制服ね」
「…高校は、学費払えなくなって中退しましたよ」
「俺と、同じ学校通うんだよ」
「掃除、洗濯、色々やることあります。家政婦なので」
「俺の付き人みたいなもんだよ。ね?」
それなら納得するでしょ?とばかりに言ってきたけど。
「付き人だったら、男性の方がいいのでは…」
「俺が茉愛ちゃんといたいだけ、って言ったら?」
私は思わず顔を顰めてしまった。
「ただの家政婦です」
これ以上近付きたくないんだって。
私、好きになりたくないんだって。
目を伏せた。



