「っえ…?」
「最初から婚約者って言ったら、茉愛ちゃん、拒絶反応起こしそうだったから、お母さんのためっていう気持ちを利用させてもらった」
「でもなんで私が…」
「茉愛ちゃんの、亡くなったお父さんが、うちの父と交流があってね。俺たち小学生なったくらいの時に会ったことあるんだよ。その時、茉愛ちゃんのお父さんに言われたんだ。俺は先が長くない、良かったらうちの娘を貰ってくれって」
「そう…なんだ」
「それから俺は、茉愛ちゃんにバレないように、何度も茉愛ちゃんのこと見に行ってた。ずっと、可愛いなって思ってたんだ。いつしか恋心に変わってた」
私の知らない裏の事情が、この10年くらいの間に起こっていたんだ。
「お願い。もっと距離縮ませたい。抱き締めたい。俺が茉愛ちゃんのこと、沢山笑わせて、幸せにしたい。ダメかな?」
「好きに、なっていいの?」
「なって?」
我慢してたモノが壊れた。
好きになっていいんだって、ふと安心してしまった。
泣いてしまった。
「どうしたの?茉愛ちゃん?」
優しく抱き締めてくれた。
「私も好き」
「俺も好きだよ?」
頭を撫でてくれる。
そのまま横になって、キスを交わした。



