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時間は既に夜の一時を回っている。
朱音は健人と食事をしたがほとんど食べることができず、そんな朱音を健人は特に注意することは無かったが、洋館から勝手に出て行かないように健人が朱音を見ているのはわかっていたのと、健人の締め切りが近いのに自分に付き添わせているのは申し訳ないと思った。
なのでこの後は部屋に戻って外には出ないと健人に約束して朱音は自室に戻ったものの、眠りにつけずじっとベッドの上で膝を抱えたまま冬真の帰りを待っていた。
冬真は全て知っていると言っても自分からどんな事があったのか伝えなくてはいけない、そう思っていたが段々と冬真に怒られてしまう、その不安の方が大きくなっている。
元々、『危険に感じそうなことは一切しないで下さい。
情報を得ても僕にすぐ伝えて、何があっても一人で勝手に動いたりしてはいけません』と言われていたのに、朱音は思い切り破ってしまった。
それも冬真に褒めてもらえる、少しは女性としてみてもらえるかもしれないという邪な考えがあった故。
どんなにあの女子高生二人にお願いされたからと言って、社会人である朱音が止めるよりもそれに乗ったせいで、二人を怖い目に遭わせてしまった。
段々落ち着き冷静になるにつれ、あの二人は先生たちに怒られていたりしないだろうか、そしてこれからきっと自分は冬真に怒られる、いや呆れられて二度と魔術師秘書はさせない、と言われるのではないかと不安が募る。
車の音がすぐそばで止まったことに朱音は気がつき、自室のドアのそばに行って玄関のドアが開く音をじっと待つ。
ガチャリと鍵の開く音と足音が聞こえ、朱音はたまらず自室のドアを開けた。
「朱音さん」
驚いたように冬真が部屋から出てきた朱音を見る。
アレクは少しだけ二人に視線を向けた後、会釈をして二階に行ってしまった。
「お帰りなさい」
視線を少しそらしながら朱音は小さな声で冬真に言うと、冬真は苦笑いを浮かべる。



