横浜山手の宝石魔術師



「冬真さんに伝えたいことがあるの」


「洋館に戻ります」


「冬真さんがいるの?」


その質問にアレクは答えず、そんなに時間もかからずに見慣れた駐車場に着くと、アレクはエンジンを止め車を降りると朱音もすぐに車を降りた。

アレクが洋館の方に視線を向けたので冬真が来たのかと朱音が見れば、健人が急いだように洋館から出てきて朱音の隣に来る。


「では」


「あぁ」


アレクは健人に向かってそう言うと健人もわかったようにそれだけ答え、アレクは洋館に入るわけでも歩道に行くわけでも無く、何故か駐車場から暗い裏庭の方に走ってそのまま見えなくなった。

裏庭の先は何も無く、朱音は何故そこにアレクが走って行ったのかわからず困惑する。


「朱音」


聞いたこともないかたい声に朱音は驚いたように顔を上げれば、健人が真面目な顔で朱音を見ている。


「家に入れ」


「あの」


「まずは入れ」


有無も言わせない健人の声に朱音は戸惑った後洋館に入れば、まるで逃げないように後ろをついていた健人が洋館のドアを閉め鍵をかけるが、朱音は玄関から上がらず健人を見上げた。


「腹が減っただろ」


そんなことを健人は言うがいつもの明るい笑みは無く、朱音はさっき起きたことを伝えなくてはと焦りながら話しかける。


「冬真さんに伝えないといけないことがあるんです!

冬真さんはどこですか?」


「お前の魔術師秘書とやらの仕事は終わったんだ。

だから飯食って風呂入って寝ろ」


そう言ってロビーを歩き出した健人を朱音は慌てて追いかける。