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早足で横浜山手洋館地域のある高台から降りて、人でごった返す横浜中華街の中に入り込む。
朱音と女子高生の絵里と真央は歩きながら互いに自己紹介をし、早足でスマートフォンの地図を見ながら歩く絵里達の後ろで、歩くのが速いです、そもそも歩きスマホはいけません、という言葉を朱音は心の中で繰り返しながらついていった。
平日でも混んでいる中華街だが、土曜ともなるとその混み方もすさまじい。
カラフルな看板、店の前で売っている肉まんなどの良い香りが漂い、カタコトで中華料理店の呼び込みをする人を傍目に見ながら、朱音は今自分がどこにいるのかさっぱりわからなかった。
元々ほとんど中華街に行ったことの無かった朱音には、どの路地も同じように見えて、慣れたように進む女子高生達に必死についていくしか無い。
やっと絵里と真央が立ち止まり、スマートフォンの地図を確認しビルを見上げる。
騒がしいエリアから少し離れているようだが、ビルが密集しているところで薄暗い階段が奥に見え、一階の店舗らしきところはシャッターが降り、スプレーで落書きがされている。
朱音が周囲を見ればそんなにあの賑やかな場所から離れていないのに、会社も多いのか閉じている店が多く、人気もほとんど無い。
「ここの二階みたい」
絵里がそういうと、真央が、うん、と頷いた。
「あと5分!急いで上がるよ!」
突然ダッシュしてビルに入っていった二人を見て、朱音は鞄に入れていたスマートフォンを確認するが何も連絡は無い。
時間的にも冬真は占いをしているところだろう。
朱音はこのスリリングな状況に、自分が楽しんでしまっているのを感じながら二人の後を追って階段を上がった。



