横浜山手の宝石魔術師


「そこで女子生徒達から情報を聞き出すために、インカローズのセミナーと占いを同時にして学生達を集めたいと思っています。

その手伝いをお願いしたいのです」


「具体的には何をすればいいんでしょう」


以前イギリス館でスタッフのお手伝いをしたのでそういうことだろうかと朱音は思う。


「まずは申し訳ないのですが学校の前でビラ配りを。

僕たちが女子学校の前でやるのはさすがに厳しいものがありますので」


アレクがやれば誰も怖がって受け取らず、冬真が配れば途端に囲まれ配るどころでは無いだろうし、健人は締め切りが集中しているらしくとてもそんな余裕は無い。


「そして当日は、スタッフをしながら学生達とおしゃべりをして情報を聞き出して欲しいのです。

年齢の近い朱音さんなら彼女たちも警戒しませんし。

そして危険に感じそうなことは一切しないで下さい。

情報を得ても僕にすぐ伝えて、何があっても一人で勝手に動いたりしてはいけません」


真面目な顔で冬真は言っているが、つい最近スーパーで子供からおばさん、と呼ばれ傷ついた朱音としては、そんなに年齢は近くないと思います、という突っ込みを飲み込んだ。


「あくまで動くのは僕です。

朱音さんは僕の仕事の秘書として周囲には紹介しますので。

もちろん朱音さんは僕が守ります」


冬真は真面目に話している、それがわかっているのに冬真の最後の言葉がとても嬉しい。

こんな私を頼ってくれる、ずっと助けてもらってばかりの自分が少しでも冬真さんの助けになれる。

朱音は嬉しいです!という言葉と表情を出さないように顔を引き締めた。


「頑張ります」


そうやって朱音の本当の魔術師秘書としての仕事が始まった。

冬真は健人にも事情を話し、健人は最初は朱音が関わることを反対していたが、ちらしのイラストを描くから俺もサポートメンバーとして情報を流せ、と言ってきて冬真は苦笑いしながらそれを承諾した。