横浜山手の宝石魔術師


「・・・・・・冬真さんは、私を守りたいんですね?」


朱音はやっと隣にいる冬真を見た。最後の望みにすがるかのように。

冬真はそんな朱音の瞳を受け止めて、


「いえ、違います。

言ったでしょう?朱音さんは人を信じすぎると。

貴女が自分を守るためにそう思いたいのなら構いません。

でもそうでは無いのです。僕は、貴女が思うような人間じゃ無い」


静かに、冷静に、朱音に言い聞かせるように冬真が言い切って、朱音の表情が歪み俯く。

そんな朱音を見て、泣き出すだろうと冬真は思い目を伏せた。

しばらく朱音は俯いていたが、


「わかりました」


そういうと顔を上げて冬真を見た朱音は、涙を溜めてすらいなかった。


「引っ越しは、明日でも大丈夫ですか?」


「えぇ」


「なら明日引っ越しさせて下さい。よろしくお願いします」


「・・・・・・では手配を進めておきます。

晩ご飯はこちらに持ってこさせましょう」


「いえ、いらないです」


冬真は立ち上がり椅子を元の場所に戻すと首を振る。


「駄目です。かなり手から出血しましたしきちんと食事を取って下さい。

アレクが食事の際は付き添いますから」


そう言うと朱音の返事を待つこと無く部屋を出て行き、朱音はそのドアをしばらく見つめた後、上半身を横たえた。