飛行機のキャンセル手続きは翔がしてくれた。

 流石、こういう仕事だけあって、すごくスムーズに手続きは終わった。

 空港で受け取るはずだったキャリーケースは、チャーターしていた車に回収を頼んだようで、そのまま果歩の手元に返ってきた。

 果歩の手元……今夜、泊まろうと誘われたホテルに、である。

 翔が取ってくれたホテルは、空港近くのラグジュアリーホテル。

 今朝まで泊まっていたのは高級でもなんでもない、普通ランクのリゾートホテルだったから、踏み込んだ果歩は目を白黒させてしまったくらいだ。

 ラウンジはお城のダンスホールのような豪華さと広さ。

 南国の雰囲気がたっぷりありつつも、一般的なリゾートホテルやシティホテルとは、明らかに一線を画している。

 その最上階のレストランで、果歩は翔と一緒にディナータイムを過ごした。

 翔は「少し支度をしてくる」と席を外して、十数分で、果歩が驚いてしまうような姿でやってきた。

 カジュアル目であるが、きっちりスーツ姿になっていたのだから。