「どれも素敵だな」

 広々とした店内で、先立って色々と見ながら翔が感嘆の声で言った。

 果歩はそれについていきながら、ちょっとおろおろしていた。

「う、うん……初めて見るから、どういうのがいいのかよくわからないけど……」

 目の前にあるのは、白。

 白い服がたくさん並んでいる。

 シフォンやレースといった美しい素材でできている白は、どれもとても素敵だ。

「果歩ならどれでも似合うだろう。でも俺が特にいいなと思うのは……、そうだな……」

 翔があごに手を当てて、いくつかのものを示す。

 このやりとりはなんとなく、ハワイで服を選んでくれたときのことを思い出させる、と果歩は懐かしく思い出した。

 今日、二人でやってきているのは同じくブティックだったが、専門店だった。

 ウエディングドレスや式用のドレス、タキシードなどを扱うブティック。

 二月のはじめ。

 翔から改まって言われた。

「結婚式を挙げよう」と。

 プロポーズを受けて、籍を入れてから、式もちゃんと挙げたいという話は出ていたので、果歩はすぐ頷いた。

 でも翔の心づもりを聞いたときには驚いてしまった。

 何故なら……。