その写真は若い頃の私と夫の写真だった。 写真が苦手な夫は中途半端に笑っている。 私はその隣で、手の甲を顔の前にかざしてはにかんでいる。 かざしたその手の薬指には、今私の手元にあるのと同じ指輪がはめられていた。 写真の中の夫は黒いジャケットにマフラーを巻き、私は白のコートを来ている。 寒い季節の写真だということは安易に想像できる。 この写真を撮ったのは30年前の12月。 恋人時代最後のクリスマスのものだ。 そしてその時に夫に貰ったのがこの指輪。 私はその日プロポーズされた。