私はその時の孝幸の表情を思い出してクスクスと笑った。 おそらく夫も思い出しているのだろう。 口元と目尻が緩んでいる。 「千晴は一度大きなぬいぐるみを欲しがったな。隠すのが大変だったよ」 夫が言う。 千晴は大きなクマさんが欲しいと言い張り、イヴの夜まで見付からないように隠すのは至難の技だった。 そのクマのぬいぐるみは今、使わなくなった千晴の部屋に置いたままだ。 「楽しかったわね。懐かしいわ」 「うん。そうだな」 私達はクスクスと笑いながらケーキにナイフを入れた。