雨宮くんにキュンとした。



も、もったいない?
……なにが?


黒髪がサラリとゆれる。
かがんでカバンを手に持った雨宮くんは、ゆっくりと立ち上がる。


なんかとんでもないこと言われた気がして、プチパニック。

背ぇ高いですね、なんて全然関係ないことが脳内を高速で駆け巡っているわたしの顔は、たぶんものすごくまぬけなはず。

そんなわたしに気が付いた雨宮くんは、ぱちくりと瞬きを繰り返す。
すると、なにを思ったかふいにその手を伸ばしてきた。





反応する暇もなく、彼の指先がわたしの耳朶をかすめ、やわやわと髪をすくう。



「寝ぐせ。 ついてるよ」

「……………」



ふわりと髪をすいた雨宮くんはスッと目を細めた。
ついでにことりと首を傾げ、クイッとキレイな口角を上げる。


うわ……うわわ……触り方……!


そんなふうに笑うなんてずるい。
こんなふうに触れるなんてずるい。


髪に触れただけ。
たったそれだけなのに、そこからジワリと熱くなる。
まるでスローモーション。
時間が止まったような、そんな気がした。