「雨宮くん……?」
目を覚ましたわたしにまったく気が付かない彼。
なんだか妙に緊張して、おずおずと声をかける。
それでやっとわたしの存在に気が付いたって感じで、雨宮くんはその視線を上げた。
アーモンドのような、切長の瞳がしっかりとわたしをとらえてふわりと瞬いた。
「ああ、起きた?」
平然な声で。
まったく興味なさそうな顔で。
雨宮くんの声、初めて聞いた……。
低くて、少しだけ掠れてて。
彼の可愛らしい顔からは、ちょっぴり意外な声。
雨音とか、学校の喧騒とか、急に遠のいてく感覚に慌てて体を起こす。
「うん、あの……なんで雨宮くんが?」
本をパタリと閉じて足元のカバンにしまうと、雨宮くんはかわりに何かを取り出した。
「俺、保健係だから」
「へ?」
ほ、ほけんかかり?
そう言って、バインダーとペンをわたしに差し出した雨宮くん。
「書いて」
「え」
「書いてくれたら、俺が出しておくから」
「あ、」
なんだ、このために?



