「ん……」
重たい瞼を持ち上げる。
よかった、少し頭痛いのよくなってる。
少しだけうとうとできた。
今、何時だろう?
ベッドをしきるカーテンのすき間から外の光がかすかに差し込んでいる。
起きなきゃ。
しんと静まり返った保健室。
外から雨音がして、傘持ってきてないことを思い出した。
うぇー……雨かぁ
「え……」
やっと気づいた。
ベッドの傍に誰かがいたことに。
ベッドのそばに置かれたイス。
そこに座って、手元の本に視線を落としているひとりの男子生徒。
真っ黒でサラサラの前髪が、彼の目元を隠してしまっている。
それでも瞬きするたびに、長いまつ毛がパサリと動くのがわたしから見えた。
彼を知ってる。
彼は、クラスメイトのひとり。
喋ったことは……ないはず。
そんな彼が、なんで?



