「井上光太朗と申します。・・・この度はちはるさんと結婚させていただきたく、ご挨拶にうかがいました・・・!」

おばあちゃんちを改築した二世帯住宅の実家。リビングで両親に対面したタロウは、緊張で面白いくらい顔が強張っていた。

「ご丁寧にどうもありがとう、ちはるの母の瑠衣子です。こっちは、娘を嫁にやりたくないワガママ親父のヤマト。あ、ぜーんぜん気にしなくていいから~。ちはるが決めた男なら、親は四の五の言わないって決めてるんだから!」

「・・・瑠衣は心配じゃねぇのかよ」

「どう見たって光太朗クンはイイ子でしょーが。ちはるを誰の子だと思ってんの?」

わたしと二十三歳違いのマー君は五十歳。親戚の伯父さん達が渋すぎるからか、比べればまだヤンチャ風味が残る、自称イケオジ。それより五つ上のお母さんは、相変わらずしっかりしてて強者。昔から。

「今日は泊まってくでしょ?はるかも夜には帰ってくるから、堅っ苦しい話はまた後で。ゆっくりしてってー」

朗らかな笑顔。妹も揃ったらさぞかし賑やかになりそうだった。