「それって･･･お母さん譲りじゃないかな」

家族の意見としては、だいたい最後はマー君が折れてる気がする。

「んー。あたしは曲がんないように踏ん張ってるだけで、由弦は初めっからビクともしない、大っきな岩だったんだよねぇ。でなきゃ『俺にしとけ』って、あたしを十年も口説けないよ？　そういう芯の太いとこ、ちはるはしっかり由弦を受け継いでるから、あたしは心配してないけどね」

決してお説教じみたりしない、押し付けない。それでいて、さり気なく叩いた背中を前に押し出してくれる。お母さんの一押しは、由弦お父さんと合わせていつも二人分だ。

「･･･お母さんって本当にお父さんのこと、すごく好きだね」

思わず漏れた。マー君の前じゃ言えないけれど。

「丸ごと受け止めてくれたヤマトは、もっとすごいけどね？」

自慢げに答えられる人が“母”で良かったと、心から感謝した夜だった。