それから大きく息を吐くと、「よぉし!」と自分で自分の頬を両手で叩き、また布団を被った。

「・・・光太朗クンに打ち明けたちはるの勇気を、あたしは誇りに思うよ。ちはるも苦しいけど、きっと光太朗クンも苦しい。・・・もし光太朗クンが、家族と縁を切って自分と一緒になってくれって言ったら、そうしなさい。光太朗クンを信じなさい」

「タロウを信じる・・・」

「どうしても二人の気持ちが噛み合わなかったら、いさぎよくウチに帰っておいで。ヤマトが大喜びするだけだから!」

さっぱり言い切ったお母さんが、今度は小さく笑い声を立てる。

「ちはるはやっぱり由弦の()だなぁ」

「ヒロおじさんも、みんな言うね」

「譲れるところと譲れないとこがハッキリしてて、曲がんないとこ、・・・かな?」