錦糸卵をたっぷり散らしたちらし寿司、唐揚げ、鯖のミソ煮に水餃子。わたしの好物ばかりがテーブルの上を埋め尽くした。7つ違いで大学生のはるかが帰って来た時には、三分の一はお腹の中に収まっていたかもしれない。

「ちーちゃん、彼氏に置いてかれるとか、ヤバっ」

ゲラゲラ笑い飛ばす妹。・・・少しは姉の胸中を察してくれないかな。

「だから廉ちゃんにしとけばよかったのにー。親がヤクザだったらさぁ、フツウに引くに決まってんじゃん~~」

「廉のことはいいから。それより(そう)に余計なこと話すの、ナシだよ」

溜め息雑じりで。
奏は廉の弟で、双子の片割れ。言っても水上(みかみ)ファミリーに筒抜けなのは分かってるけれど。

「ハイハーイ!」

「はるか?もし奏クンにちはると同じこと言われたら、自分がどういう気持ちになるか、ちゃーんと考えてモノ言いなさいよ?」

「はぁい」

卒業したら奏と籍を入れるはるかには、どうやらお母さんの刺した釘は効き目がありそうだった。