逸らされた眼が苦しそうに歪んだのを、ああそうか、終わるのか・・・と現実を飲み下していく。冷静とは違う気もしたけれど、最後まで受け止めるだけだと悟ったような境地で。

「・・・そうだよね。でも今じゃないと言えなかった。お父さんに会ってもらうのに、時間がかかってごめんね」

タロウは葛藤しているようにも窺えた。優しいタロウ。俺が費やした時間を返せと罵っていいのに。

「そんなのは。・・・て言うか、こんなの俺だってどうしろって・・・、母さん達もすげぇ喜んで」

絶句した姿にここまでだと思った。結局、自分のエゴでタロウを傷付けただけだった。それだけは悔やんでも悔やみきれない。

「うん・・・。ご両親が普通に喜べる人と、タロウは結婚しなくちゃね」

薄ら目を赤くしたタロウに弱々しく笑んだ。引き留める権利もない。自分が終わらせなくちゃ、彼が別の未来を探しにいけない。

「だから、黙ってたわたしを怒って振っていいんだよ」